今回は、ヤフーニュースにて、アメリカの野球界で活躍中の大谷翔平選手についての記事を見かけて、それに対して思うところがあったのでブログにしました。筆者はニューヨーク在住で、普段はあまり日本の記事を見ないのですが、スポーツ全般が好きでよく検索するからなのか、先日、おすすめ記事としてこちらの記事が上がってきました↓
この、野沢直子さんのラジオ番組内のコメントについてですが…
私は100%同意です。本当にその通り!ってかんじ。
野沢さんはラジオ内での発言だったので、ものすごく慎重に言葉を選ばれており、さすが…と思いましたが、私が代わりに率直に言わせてもらうと、大谷選手の米国での人気度を質問する時点でその質問者はもう勘違いしているとしか思えません。つまり、質問がおかしいです。
「アメリカのMLBファンの間で、大谷選手は人気がありますか?」
なら、全然理解できるんです。
さて、何が言いたいかというと、野沢さんがおっしゃるように、野球自体、アメリカでは他の国民的スポーツと相対的に比較して、人気がないのです。
「いや、でもアメリカの野球のスタジアムなんていつも客でいっぱい埋まってるし、盛り上がってるじゃないか。」
と思われる方もいるかと思います。でもそうでもないです。人気がないチームだったり、平日の昼間やダブルヘッダー(特定のチームが1日のうちに2試合を開催すること)の日なんかは客席がスッカスカの試合だってあります。
一方、NFL(米国のプロアメフトのリーグ)では、客席がガラガラなんてことは、相当悪天候などでない限りは見かけません。チケットの価格も野球に比べたら断然高いですし、やはりアメリカは根強いアメフト人気国なのです。
また、NBA(北米のプロバスケのリーグ)も同様で、一部のチーム(例えばマイアミは土地柄人気がない)を除いては、常に席は観客で埋まります。やはり、アメリカ人にとっては、アメフトに次いで人気のスポーツなのです。
なお、NHL(北米のプロアイスホッケーのリーグ)も、アメリカ人の間では非常に人気があります。
こちらではセレブリティと呼ばれる有名人の方々も、アメフトやバスケの試合にはVIP席によく居ます。彼らは試合の合間に、『今日はこの有名人が来ています!』といってカメラを向けられるんです。
やはりセレブリティは華がありますし、そういう場に堂々とキラキラとした格好をして観戦に来るところがまたアメリカらしい文化なのです。
で…野球はというと、そういう華やかさはありません。やはり、野沢さんがおっしゃるように、アメフトやバスケに比べると地味です。そして、お金持ちが観に行くキラキラとしたスポーツというイメージもありません。
あの、言葉が悪いですが、民度の低い人たちが時々選手に向かってブチギレながらピーナッツを下品に食べ続けて最終的に足元がピーナッツの殻だらけのきったない光景を目にするのがアメリカの野球です。
いますよね、日本にも。野球場でひたすら文句言ってるおじさん。でも、あれの10倍くらいマナーが悪い客がわんさかいるイメージです。
つまり何が言いたいかというと、野球はアメリカ人全員が関心のあるスポーツではなくて、一部の層に人気のあるスポーツだということです。すなわち、大谷選手を知らないどころか野球なんか全く観ない、という人たちも大勢いるのです。
だから、仮に大谷選手がアメフトの選手で、「大谷選手は米国でメチャクチャ人気ありますよね?」という質問なら理解ができます。でも、野球の大谷選手は…正直人気があるともないとも言えないと思うんです。
だから、おそらくナイツの塙宣之さんが「大谷翔平って、そんなアメリカで人気ないよって言う人がいる」とおっしゃったのは、日本で報じているほどではないということだと思います。
だって日本の記事って、大谷選手が何かすごい結果を出すと、
「全米が驚愕!」
みたいなタイトル付けるじゃないですか。それでは読んだ側は当然勘違いするでしょう。私はすごくツッコミたいです。完全に釣りタイトルだよそれ!って。
日本人って、なぜか日本人選手が海外で活躍していて話題になると、自分と全く関係なくても誇りに思うらしいです。だから、その心理をうまく利用しているような…。
だから、私たちはこういうニュースの記事によって、印象操作されていることに気を付けなければいけないでしょう。
さて、ここからはおまけの話ですが…
これは、私がニューヨークのとあるスポーツバーに行った時の話です。私はこの日メッツの試合を観たくて、目の前にテレビがあるバーカウンターに夫と並んで座りました。
そのバーカウンターには、私たちのほかに、若い男性とおじいさんの2人が座っていて、それぞれ一人で来ていました。
この日は対エンゼルスではなかったのですが、たまたま夫との(日本語での)会話中に大谷翔平選手の話が出ました。周りの人たちは、おそらく日本語は理解していなかったと思いますが、「オオタニ」という単語は聞き取れたのでしょう、話題を考えていたバーテンダーが、若い男性客に向かって、
「オオタニの活躍についてどう思うか?」
という質問をしました(バーテンダーが一人で来ている客に話題を振るのはとても自然なことです)。質問された男性は、「オオタニはとても良い選手だと思うよ。この前も…」と具体的な活躍シーンを挙げ、誉め言葉を並べます。
すると、もう一人のお客のおじいさんがその話に加わり、「俺はそこまでとは思わない」とキッパリ。「テレビではベーブ・ルースと比べられてるけど」どうのこうの…と自分の意見を躊躇なく述べます。
これが、アメリカなんです。人に流されず、しっかり自分の意見を伝えることが出来る。聞いた側も、自分の意見と相手の意見が違っても、気まずくなることはなく相手の意見を尊重する。私はこの文化、好きです。
だから、日本でいわゆる"空気を読む"文化で、例えば、職場で一人が「羽生くんカッコイイよねー♡」と言ったら、聞き手も"同意"しないといけない雰囲気になるじゃないですか。
「私はそう思わない。」と言ったら、空気ぶち壊しというか、思ってなくてもとりあえず「そうだよね」と言ったら?みたいなところがありますよね?(特に女性は)
だけど、会話に参加していない周りの人たちから見れば、「やっぱり羽生くんって人気なんだ」って思うでしょう。
つまり、こういう文化の無いアメリカ(無いというか厳密にはなんでも人に合わせていると嫌われる)で、"人気"を客観的に判断するなんてムリだと思います。判断するとしたら、ユニフォームなどのグッズの売れ行きとか調べた方が良いのではないでしょうか?
とはいえ、大谷選手は最近はNew Balance(ニューバランス)のCMに出ていたり、アメリカでも知名度を上げていることには間違いないと思います。
というわけで、今日もご覧いただきありがとうございました。
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